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何も知らない僕たちは

第13章 13


おまけ要素

「それにしても言葉が伝わらなくとも大体のことが理解できてしまうとは人間は不思議じゃのう」

「僕たちと言うほど差はありませんよ」



買い出しをしていた二人はふと電化製品の店のショウウィンドウに足を止めた。最近入荷された大きなテレビが何台も積まれていた。全ての画面に同じ映像が映し出されている。よくよく考えたらこの光景は異様だ

「む、鬼太郎どうした?」

「あ、いや気になるものがあって……少し寄り道していいですか?」

たどり着いたのは古本屋。ジャンルの在庫の確信があったのかすぐにお目当てのものを見つけレジへ早々と向かった










「ふう、今日は手紙もないし平和じゃのう…」

「毎日こんな感じだとありがたいんですが…」

「む…お前が読書なんて珍しい。頭でも打ったのか?」

「失礼ですね…知りたいことがあったので」

「?」

その時に散歩から帰ってきたカヲルが入ってきた。ある程度の距離であれば外出は許可されている

「カヲルちゃんお帰り」

しかしカヲルは鬼太郎が持っている本を見るや否や驚いた表情で駆け寄る

「な、何!?…あ、これ?最近買ったんだよ。もっと君の事知りたかったから」

にこっと彼女の微笑みかけるも、本人は決して嬉しそうな顔ではなかった。寧ろ辛いような、苦しいような表情…

「どうしたの?」

彼女はちゃぶ台の上のノートへと彼を引っ張る


(どうしてこんなことしたの?)

(どうしてって?)

(なんで手話なんて学ぼうとしてるの!?)

古本屋で購入した本のイラストが容易さを物語っている。前の持ち主が何度もこれを開いたのだろう、あえて他のものとは年季が入っている物を選んだ

(僕の好みだよ)

(嘘つかないで!貴方のお人よしは知ってるんだから
私が頑張って喋れるようにしてることが憐れに思ったんでしょ!?)


「…」

(それは違うよ。



もちろん君が話す努力をしているのは驚いたし、そこまでしなくてもいいんじゃないかと思ってた。けど、あの時のカヲルちゃんは、言葉を発していたカヲルちゃんは凄く嬉しそうだったから、努力してるっていうより、カヲルちゃんのやりたいことだと思うんだ)
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