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何も知らない僕たちは

第12章 12


鬼太郎の帰りを待つカヲルはトランプをいじくってた。これで遊んでくれようとしたのだがいきなり血相を変えて家を飛び出していったもんだから、カヲルは確定で一人留守番することとなった
彼は必ず帰ってくると信じているのだが一人でいてもどうも暇で仕方がない。散歩などをしたい気分だが勝手に出ていくとまた叱られてしまう。トランプタワーを作りながら待つことにした


「鬼太郎ーいるー?」

猫娘が部屋に入ってきたがカヲルは集中していて気が付かない

「ちょっとあんた!」
うしろから肩をぽんと叩くとカヲルはビクっと体を震わせる。トランプタワーはあっけなく崩れてしまった。カヲルはぷくーと頬を膨らませて怒り顔でこちらに振り向いた

「ご、ごめん…
ってそんなことより鬼太郎は?どっか行ったの?」

カヲルは頷いた

「その調子じゃどこに行ったか分かんなそうね…
仕方ないけどここで待たせてもらうわ」
と猫娘は適当な所に座る。

「貴方も大変ね…」

後日鬼太郎からある程度事情を聴いていた猫娘は言葉を漏らす。







<僕はカヲルちゃんを守りたいんだ。身体的にも精神的にも>










『羨ましい…』

カヲルは訳が分からず首を傾げるが、ぱっと顔を上げるとトランプを切り出した

「何よ?なんかするの?…ああババ抜きね」
一つだけとり出されたジョーカーを見て気づく




意外にもカヲルには運がないようだ。顔には出ないが引きの出が悪い。そのたびにカヲルは膨れっ面でもう一回とせがんでくるので心なしか妹のように見えてくる


「あ、貴方の勝ちよ」

n回戦目、猫娘が机の上に出したジョーカーを見てカヲルは顔をぱぁと輝かせる。嬉しさのあまり周りを飛び始めた。本当に12歳だとは思えない程の素直っぷりに呆れつつも不思議と何も言う気がなくなってくるのだ

『この子には、人を巻き込む力がある。良くも悪くも。ちゃんと話せて生きていれば友達もできただろうに…』



「ただいま、ごめんカヲルちゃん留守番任せちゃって…」

「あ、鬼太郎」

「…猫娘…カヲルちゃんに何かした?」

「別にトランプでババ抜きしてあげただけよー」

「そう…(あんな喜んだ顔してたとは…)」

急な外出を後悔した鬼太郎であった
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