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何も知らない僕たちは

第11章 11


その後、ゲゲゲハウスには常にノートと鉛筆一本が装備されるようになった。カヲルと会話をする手段なので話したことが全てここに書かれている

そして今日も二人は肩を近づけて机に向かっている



妖怪ね。本当にいるなんて…

信じてる人には見える、けどそうじゃない人は見えない。そういう存在だから

じゃあ死んだら天国に行ったり地獄に行ったりするのは?あるいは輪廻があるんですか?

それは僕等の管轄外だから分からないけど地獄はあるよ。エンマ大王に時々会いに行ったりするんだ

すごい…

大体は叱責だけど


カヲルは時々笑みを漏らすようになった。鬼太郎はこの上なく満足した気持ちになる


というか敬語なんて使わなくていいよ

でも私よりずっと生きてるじゃないですか

僕は年上ってより友達として見てくれる方がうれしいけどなぁ




…分かった



「キャア!何してんのよ!!///」

「あ、猫娘」
訪れた猫娘が二人の変な雰囲気に悲鳴を上げる。勿論気が付いたのは鬼太郎だけだ

「近すぎじゃないのよ!!いつの間にそんな関係になったの!?というか貴方まだ帰れてないの!?」

混乱状態の猫娘が目をぐるぐる回しながらカヲルに流れるようにべらべら喋り出すが彼女はこてんと首をかしげるだけだった

「だめだよ、そんなに早口じゃあカヲルちゃんも言葉が読めないよ」

「こ、言葉を読む?どういうこと?」

「カヲルちゃんは難聴なんだ。それにもう亡くなってるらしいから元居た家には帰れないよ」

「え?つまり、これは生霊ってこと?」

「そういうことになるのぉ」

「嘘!だって実体が…しかも死んでもなお生きてた状態を保ってるなんて聞いたことないわ」

試しに彼女のほっぺを触るが霊独特の透明度はなく、ぽよぽよとした反射が返ってくるだけだった


「………

柔らか…」

その感触にはまったらしく猫娘はしばらくその感触を堪能していた

「しかし、しばらくはここにいさせてもよいが、
長続きさせるわけにもいかん」

「そうですね…」

「一番妥当なのは早めに成仏させることじゃな」

「…」

「人は死んだら魂となり実態は無くなる。その節理に逆らってはいかん」

「…でも、せっかくカヲルちゃんはようやく人として歩み始めたんです。僕は妨げたくありません」
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