第11章 11
「鬼太郎、気持ちはわかるが責任を持てないことで生半可な事を言われては困る」
「責任…?」
「カヲルが死んでもなお実体を残していることは別の危険を示唆している」
「どういう意味です?」
「妖怪はどうして生まれると思う?」
「えっと…理由は様々だと思いますけど、前世での恨みがそのまま生霊としてこの世に残ってしまっている者がほとんどだと思います」
「それを強く動かしているのは未練。ここに留まっている以上カヲルにも何等かの未練があるはずじゃ。カヲルになんの思いがあるのかはわしにも分からん。
じゃが、あまりいい理由でないことは察しがつく。
このままではカヲルは負の感情に身を任せた妖怪になってしまうぞ」
「…」
「それは……僕はどちらにしろカヲルちゃんを殺さなくてはならないということですか?」
「怖いんです」
鬼太郎は震える拳を必死で押さえ、絞り出すように声を上げる
「…………
成仏とは必ずしも霊を傷つけることではない。自身が何をしたかったのか、どうすればいいのかお互いに協力し合うことでもある。
もし、自分の手で失うことを恐れているなら他の人に任せるのも手じゃ。お前にカヲルの全ての責任はないからな。
酷に聞こえるかもしれんがのぉ、これらは全て事実じゃ」
「…分かってます。
他の人に任せるなんてことさせません」
はあ、と頭の中でため息をつきながら答えた
その後、なんとか穏便にカヲルの未練を聞き出そうとしようにも察しのいいカヲルにはすぐに不審がられてしまった。結局折れて真実を話してしまう
どうしてそんな周りくどい聞き方したの?話してくれれば言ったのに
怖くないの?
なにが?
自分がそのうち消えてしまう存在だってこと?それとも恐ろしい妖怪になってしまうってこと?
どっちもだよ
そうだな…ぶっちゃけどっちもどっちって感じかな。事実を見て感情移入しない癖はもうついてるから
それを聞いてそうだとも思いつつ、ここではそんなこと気にしなくてもいいのに、けど怖がって欲しいわけでもないんだよな、と葛藤が生まれる。次の言葉が見つからなかった