第10章 10
私は何も発信しなかった。気が付かないのは普通の成り行きです
でも
それを伝えにここへ?どうするかは決まったのですか?
不甲斐なかったんだ。君を孤独にしてしまった
それは元々ですよ。貴方が気負うことではありません
いや、責任があるとかないとかそういうことじゃない。君にもほかの人と同等の幸福に生きる権利があると思ったから。
貴方はお人好しなんですね
よく言われます
けど分からなくはありません。私も名前も知らない猫に対して情が沸くんですもの
だから少し気になります。貴方はどうして私に情が沸くんですか?
「……」
君が人として魅力的だからかな
何処の辺りが?
強く自立しようとしているけど本当は誰かに縋りたいって思ってるところ
そんなことありません
それは君の中の理論でしょう?君はきっと甘え方も分からずに死んでしまった
誰かを頼るって恥ずかしいことじゃないよ。それは生きている限り誰もが持っていることだから
貴方も?
うん、僕も
それに良くも悪くも人のことが考えられる。自分を蔑むことは別問題だけど、君は想像以上に頑張って生きてきたんだね
私がしてきたことはただの形だけです
でもこうやって手紙まで書いてくれたのは流石に形だけとは思えない。本当は言いたくなかったのに
結局君もお人好しだってこと。またいなくなってるのはちょっとびっくりしたけどね
すみません、あの時は私が死んでるって分かっていたのでこのまま元の世界に戻ったらどうなるのか分からなくて気が引けたんです
そっか、少し遅かったけどそれが聞けて良かったよ