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明日晴れたら

第21章 二つ三つ



(デート…なのかなぁ)

あのときの彼の戸惑いは、一体何だったんだろう。
名前を告げることを、ひどく躊躇(ちゅうちょ)していなかったか。

自分が拒絶されている訳ではないと知れて、ほっとした半面、更に疑問が湧いてしまった。名を知られては困る、なんてことあるんだろうか。

その後、違和感は消えたので、こうして約束することが出来たのだけれど。


前に彼は、お勧めのノートを教えてくれたから、今度は私のお勧めを伝えようと考えていた。

食べ物や、物事の好き嫌い。
ものの考え方や、癖。趣味なんかも。
どこに住んでいるのか、どんな任務を担当してるのか。
…それから、好きな女性のタイプ。
自分と余りにもかけ離れてたら、どうしよう。

知りたいことがどんどん膨らんで、想像ばかりが頭を駆け巡る。


窓の外を見ると、日が高く上り始めていた。薄い雲から明るい光が降ってきて、窓から差し込んでいる。

約束の時間が迫っていることに気づいて、私は結局、前合わせの萌黄色の着物を手に取った。踵(かかと)に少し高さのあるサンダルを合わせよう。袖のないものだから上に羽織を。

最初に色気のないところを見せてしまったのを、ちょっぴり気にしていた。そのため、少しでも大人っぽく見えるようにと、それに落ち着いた。髪は一つにゆるくまとめる。


彼のことを、まだ何も知らない。

好む文具と名前、カカシさんの後輩であること。そして、この里の忍者だということくらいだ。カカシさんのこともほぼ知らないから、私が知っているのはたった三つ。


もしもこの縁が続くなら、一つ一つ知っていきたい。
私は鏡に映った自分を見ながら、ぼんやりとそう思った。

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