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明日晴れたら

第8章 卒業試験の行方



「と、まあそんな感じの試験でした。今回結構卒業した生徒は多かったですね」
「あ、ああ。そうですね。くノ一教室もかなりの合格者が出ましたよ」

少し沈んだ空気を変えるように、イルカ先生は話題を変えた。明るい表情でこちらを振り向く。私も気分を切り替えて、彼を見た。

「ナルト君も、頑張って欲しいです。次は変化の術ならいいのに……。ほら、ナルト君は変化の術、結構上手いじゃないですか。女の子なんか特に」

微笑みながらそう言うと、イルカ先生が不思議そうな顔をした。

「あれ?ナズナ先生は知ってるんですか?ナルトの女の子に変化した姿。アイツ、悪戯にしか使ってなかった気がするんですけど」

そんなに貴重だったんだと気づいて、私は慌てて言葉を濁した。知ってると話したら、ナルト君との秘密がばれてしまう可能性がある。

「い、いえ。以前それを見たことがある先生に、ちょっと話を聞いて」
「ああ。そうでしたか。……アイツもさすがに女性相手には使わないか」
「え?そんなに魅力的なんですか?」

もごもごと呟く彼を見て、悪戯心が生まれてしまった。笑い交じりに尋ねると、イルカ先生は顔を真っ赤にして否定した。両掌をこちらに向ける仕草に、動揺が色濃く出る。

「そ、そんなことは……。でも、ナズナ先生は見ない方がいいかもしれませんね」
「ふふ、そんな機会が来ないことを願ってます。ああ、私お茶入れてきますね。イルカ先生もどうですか?」
「あ、はい。じゃあ、お願いできますか?ちょっと喉が渇いて……」

ふうと、安堵の息を漏らすイルカ先生の後ろを通り過ぎ、私はくすりと笑いながら給湯室へと向かった。
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