第40章 これからも ─ 前編 ─
「ところで先輩、調子はどうですか?先の任務で写輪眼を多用したとか」
「ん?まあね」
「先輩が寝込むほどというのは、その眼を使ったときくらいですからね」
「部下には負けてられないって、新たな術を開発したんだが……反動がすごくてな。この様だ」
先輩は一つ溜息を落として、また天井に顔を向けた。
「悪いけど、テンゾウ。今回の任務、よろしく」
「ええ。綱手様から、伺っています。先輩の代理ですから、当然全力を尽くしますよ」
「お前だから選ばれた、ってのもあるだろうしな」
「ああ、うずまき一族の子ですか?確かに僕の木遁の術の中には、尾獣の力を抑える術もありますけど。そんな事態にならないことを祈ります」
僕の使う忍術の中には、九尾の力を封じ込める術もある。初代火影様が九尾の力を抑えていたように、尾獣の巨大なチャクラを封じ込めることが出来るのだ。
先輩の率いる班には、その九尾を体内に封印された子である、うずまきナルトがいる。
「まさか、こんな形で関わることになるなんて思いもしませんでした。……以前先輩に聞いたときは、どんな子たちだろうって、暗部の仲間たちと噂してたのに」
「何?そんなこと話してたの、お前」
うっかり口を滑らせたことに、先輩が眉をひそめた。
以前、カカシ先輩が担当上忍になったとき、子供たちを引き連れて歩く姿を想像して、仲間と笑い合っていたことがあったのだ。厳しい先輩の長閑な姿は、当時の僕たちには少し違和感があり、妙に可笑しかった。
「まあ、ちらっとですけどね」
僕は口元に手を遣り、笑いを抑えた。ごほんと、一つ咳払いをする。
「これから顔合わせをします。任務完了後には、また報告に」
「ああ」
一礼して立ち去ろうとすると、カカシ先輩が僕を呼び止めた。
「テンゾウ」
「何です?」
その声に立ち止まり、僕は振り返った。