第40章 これからも ─ 前編 ─
後に「木ノ葉崩し」と呼ばれる、木ノ葉隠れと砂隠れの抗争は、三代目火影様の殺害と共に収束した。首謀者は、既に罪人となっていた大蛇丸とされ、木ノ葉と砂の協定が再度結ばれた。
長不在の状態がしばらく続き、人員不足のため里中の忍が任務に駆り出されていた。次期火影候補は、捜索中と通達があったのみだ。
それから、長らく里を離れていた、初代火影の孫である綱手姫が、次期火影候補として帰還。彼女は、三代目火影様の愛弟子でもあり、伝説の三忍と呼ばれている人だ。
同じく三忍の自来也様が連れ戻したという話を聞いている。
その就任により、里も落ち着きを取り戻しつつあった。僕もまた新たな上役の元、任務に赴く日々が続いた。
そして、三年の月日が経った。
*
僕は身支度を調えて、自宅を出た。木ノ葉の基本の忍び装束である、紺色の長袖、長ズボンに草色のベストを身に付けている。猫の面は外していた。
急ぎ木ノ葉病院へと向かう。
目的の部屋の扉をノックして、声を掛ける。
「失礼します」
どーぞ、と一言返答があり、病室に足を踏み入れた。
扉を閉めて振り向くと、
「何だ。そこそこ様になってるじゃないの、テンゾウ」
部屋の主である、カカシ先輩がのんびりとそう言った。
顔半分まで掛布団を被り、ベッドに横たわっている。彼は、先の任務で体を酷使したことが原因で一週間ほど動けないらしい。療養のため、ここに入院している。
「今はヤマトです。…って、まだ落ち着きませんよ。仮面なしの任務なんて」
僕は自分の顔を軽く手で撫でながら、彼のベッドに近づいた。
「ああ、今回の任務のコードネームか。ま、すぐに慣れるよ。俺もそうだったしね」
彼は、顔をこちらに向けて目元を和らげた。
病室の窓は開け放たれていて、爽やかな風が入ってくる。