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明日晴れたら

第7章 行きつ戻りつ



「失礼します」

一声かけて室内に入る。数々の資料が載っている机を挟み、正面に三代目が座している。

彼は椅子にゆったりと座り直し、こちらを見た。深いしわが刻まれた顔が引き締まる。

「皆、ご苦労だったな」
「はい。火種の大元となっていた、雨隠れの忍を拘束しました。情報部に引き渡し、クーデターの原因を確認しているところです。ま、自白するかどうかは、わかりませんが」

「ふむ。雨隠れと言えば、暗殺術に長けた忍の多い里じゃな。そう簡単に、依頼主の情報を漏らすこともなかろう」
「ええ、長期戦になる可能性があります。情報部には、俺が都度顔を出すように配慮しますので」

カカシ先輩の報告を、僕らは横並びになり聞いている。


三代目は先輩をじっと見つめ、徐に手元にあったキセルを口に含んだ。
一息吸って、ふわりと煙を吐き出す。

「…カカシよ。お前はここまででよい。今回は適任が見つからず、お前を隊長に任じた。しかし、今回の班にはテンゾウも含め、まだ二名おる。様子を見るのであれば、彼らに任せたらどうかな?」

その言葉に、先輩は驚いていた。

「お言葉ですが三代目、この任務の隊長は俺です。最後まで責任を持って対処させてください」
「じゃがな、カカシ。お前は今、暗部専属ではない。正規部隊の上忍じゃ。この任務ではなく、上忍として下忍の育成に注力してもらいたい。分かっておるな」
「……」

「また、もうしばらくすると、アカデミーを卒業する生徒が出てくる時期じゃ。片手間には出来ぬ任務をお前にやらせる訳にもいかん」
「ですが……!」

明らかな動揺を見せる先輩が珍しくて、僕を含め隣の二人も彼に目を向けた。体を前のめりにして訴える先輩を退けるように、三代目は鋭い視線で先輩を見据える。

「よいな。この件に関しては、他の三人に引き続きやってもらう。心配せずともよい。お前が認めた部下たちではないか。何を迷うことがある」
「……わかりました」

言い含めるようにそう告げて、三代目は立ち上がった。先輩を隊長としたこの任務は、この報告を機に一旦終了となった。
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