第7章 行きつ戻りつ
──もう一人いたな。
頬を緩ませて呟いた言葉は、先輩には聞こえなかったようだ。ほっと胸をなで下ろす。
日が陰り始めた林には、甲高い鳥の声が響いている。帰りのルートを説明する彼の声に集中する内に、数日前の柔らかな記憶はふっと消えていった。
*
カカシ先輩を先頭に、崖を上り、林を抜け、川を泳ぎ渡る。飛ぶような速度で走ると、木ノ葉隠れの里の正門が見えてきた。門番に目通りしてすぐ、火影の執務室へと向かう。
たどり着くころには、夜も更けていた。執務室には、この里の三代目火影がいる。彼は極めた忍術の多さから、プロフェッサーとも呼ばれる人だ。
僕が闇に囚われていたとき、カカシ先輩と共に救い上げてくれた恩人でもある。