第28章 預かりもの
翌日、私は早速手紙をしたためて、窓辺から鳥を放った。朝焼けの空に飛び立つ鳥を見送る。それから、アカデミーへと向かった。
*
最近になって、他の里に中忍選抜試験の告知がなされ、木ノ葉隠れの里も、少しばかりざわついていた。他の里の忍たちが、この里を訪れている。
続々と書類を携えた少年少女たちが集まっている。皆ピリピリと緊張し、ライバルとなり得る相手を意識している。
年齢も様々で、まだ下忍になりたての子から、数多くの任務をこなしてからの受験か、鋭い目をした人たちもいる。
血の気の多い若者が集まると、ちょっとしたことでいざこざも起こる。そのため、現場を見張る必要があった。
(皆、どうしたかなぁ)
何人か、最近の卒業生が推薦を受け、受験するらしいという話を聞いている。たけど、また出願書はまだ受け取っていなかった。
(カカシさんは今回見送ったのかな。紅さんも…)
残念なような、安心したような心持ちになる。
職員室で事務処理を進めていると、イルカ先生が険しい表情で戻ってきた。珍しく、無言で席に座る。
「イルカ先生、どうしたんですか?顔色が悪いですよ」
そう声を掛けると、彼は険しい表情のままこちらを振り向いた。
「ナズナ先生…」
「実は…」
イルカ先生の話を聞いて、私は思わず声を上げた。
「ええ!?」
イルカ先生は隣で大きく息をつく。
「先ほど三代目から召集があったのは、ご存じでしょう?」
「はい。皆さんこぞって出て行かれたので」
「新人担当の上忍も揃ってたんですが、そこで皆推薦を…」
「じゃあ、ナルト君たちも今回やっぱり受けるんですね」
単なる噂だと思っていたのに、まさかの展開だった。