第28章 預かりもの
「俺は抗議したんですが、皆当然のことのように推薦してましたよ。一定の任務をこなしていれば、受験する権利はある。そんな感じでして…」
イルカ先生は、机に両肘をついて頭を抱えている。
「そうでしたか…それなら日向さんも」
「ああ。はい、ヒナタもでしたね。ナズナ先生、ご存じでしたか」
「いえ、たまたまです。第八班の紅さんにこの間会ったときでしょうか…それらしい話を聞いたから、もしかしてと思って」
私がその後黙り込むと、イルカ先生は諦めたように呟いた。
「心配って言っても…」
「俺たちは信じて見守るしかないんですよね」
向けられた表情は寂しそうで、私も同調して頷く。
「はい。きっと彼らならって、担当上忍の方のお墨付きが得られた訳ですから。後は陰ながら見守るしか」
ふぅとため息をつくイルカ先生に、私は笑顔を向ける。
「イルカ先生が一番、皆の底力を信じてるじゃないですか。だから、きっと大丈夫」
気休めでしかないと思ったけれど、私がそう言うと、イルカ先生は姿勢を正してから、そうでしたねと少しだけ笑った。