第27章 変化
結局結論はそうなる。
告白してみないことには始まらないのだ。
結果を予測したところで、埒が明かない。暗部と言えば、血腥(ちなまぐさ)い任務とは切り離せない。それを受け入れてもらえるかは、相手次第なのだ。
(ナズナさんは…)
彼女はアカデミーで過ごしている。
明るい笑顔に惹かれたのも、彼女が人の生死を握る立場でないからだと思っている。
ごく普通の感情を持った人。
その自然な振る舞いが、僕の心を癒してくれる。
僕たちは里のためだと言い、時には非道な行いもする。それは、任務だからと許されているが、果たして僕はまともな感情を保っているのだろうかと時々不安になる。それを、彼女が引き戻してくれるような気がしていた。
例え忍であり、暗部にいたとしても、僕は人間らしい感情を捨てたくはない。だから彼女の傍にいたいと感じていることを、上手く説明できないでいる。
曖昧な返答を見抜かれて、彼女は不安な表情を向けてきた。このまま黙っていることはできないと気づき、先日彼女に告げた。もう少し待ってくれと。
(ナズナさんは、待ってくれるだろうか)
ふっと黙り込んだ僕を見て、彼は肩を叩いてきた。
「考えすぎるなよ。まあ、なるようになるさ」
彼らしい大雑把な励ましがあり、そうですねと呟くように僕はそれに応える。話したことで僕の気持ちは定まりつつあった。それを見透かしたように彼が続けた。
「相手がお前を信じようとしてるなら、いずれ答えが出るだろうさ」