第24章 巡る季節
彼らが部屋を去った後、火影様からその報告書を受け取り仕訳をする。
(波の国…)
ナルト君たちは依頼人を暗殺者から守り、無事帰還した。国外の任務をやり終えて、皆清々しい顔をしていた。
アカデミーにいた頃と比べて、随分と凛々しい顔立ちに、私は三人の目覚ましい成長を感じた。
*
ナルト君たち、第七班の帰国を見届けて数日。
私とイルカ先生は、アカデミーの授業、任務受付の補助という流れが続いている。
その後教員室に戻ると、机の上にはまた書類の束がある。中忍選抜試験の関連書類だ。確認作業を任されている。
他の教員も、第二の試験会場の整備や日程調整など、それぞれが何かしらの業務を請け負い、準備を進めている。
隣のイルカ先生の机には、おおよそ私の倍、紙の束が積まれていた。
私は自分の机にある一枚をつまみ、さらっと目を通した。
「今年は、筆記試験も難しいですね」
第一の試験は筆記だ。その草案を見て私は驚いた。中忍の私ですら解けるかどうか、という問題も混じっている。
「ええ、年々受験者も増えてます。人数を絞るためには、そうせざるを得ないんでしょうねぇ」
イルカ先生は自らの前の書類の山を見て、一つ溜息を漏らす。
「そう言えば今回、ナルトたちも受験するかもしれません」
ぽつりと呟いて、イルカ先生は頭を抱えた。
「ええ!?本当ですか?だって、まだこの間下忍になったばかりじゃないですか」
書類を手に驚いて横を見ると、彼は神妙な顔で私を見つめている。
「まだはっきりとはわからないんですが、この間、カカシさんが三人分の願書を取りに来たんですよ」
「それじゃあ…」
彼らは先日、下忍では難しいランクの任務を成し遂げている。その成長を見ての判断なんだろうか。
「私が受験したのは、十代半ばの頃でしたけど…最近の子は皆早めに受けるんですね」
はぁ、と驚きとも感心とも言える息を吐いて、私は書類の確認を始めた。イルカ先生は私の話が聞こえなかったらしく、心配だなぁと呟きながらも、既に紙の束に目を通していた。