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明日晴れたら

第21章 二つ三つ



少し考えて、私はあることを話した。

「あ、そうだ!しばらくすると中忍試験がありますよね。私、それを楽しみにしていて。前の卒業生たちが、そろそろ受験するはずなんです」
「そうか、もうそんな時期なんですね」

テンゾウさんはお茶をすすっている。

「テンゾウさんも観戦されたりするんですか?」
「いや、僕は任務が入っていることが多くてあんまり…」

「そうですか。私も授業や、試験の手伝いがあったりして、いつも観戦出来る訳じゃないんですけど…」
「それなら、ナズナさんもその時期はお忙しいんですね」
「ええ」

テンゾウさんは、不意に黙り込んだ。お茶のカップを手に、何か考え込んでいる。不思議に思い、私は彼の顔を覗き込んだ。

「あの…」
「ああ、次はいつ会えるかなと思って」
「え?」
「僕は休暇が不定期で、なかなか日程が合わせられないんです。今回も、たまたま休暇になっただけで」


そう言えば先日話したとき、「やっと」と言っていたことを私は思い出した。

「お忙しいんですね。そんな貴重な休日に付き合ってもらって…」

大事な半日をこんな呑気な申し出に付き合わせてしまい、急に申し訳なさが募る。会えた嬉しさで、自分の気持ちばかり押し付けてしまった。

私は食べかけのパンを両手に持ったまま、俯いた。

「そんな!僕としては、こんな時間が持てて感謝してるんです。……いい店の情報も手に入りましたしね」

隣を見ると、テンゾウさんが悪戯っぽく笑っていた。

「ふふ、常連さん確定ですね」
「そうです」
「それなら、良かった…」

彼のちょっとした心遣いが嬉しい。

もしかして次があるのかもと期待に胸を膨らませたとき、木の上で鳥が高い声を上げた。

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