第5章 初めての • • • * 真田 弦一郎
「弦一郎をその気にさせるのは、至って簡単だが……」
えっ?
そうなの?
「どうすれば、いいの!?」
「お前が全裸にでもなれば、幾ら堅物のげ…」
無言で、勢いよく蓮二の両頬を挟み、睨みつける。
「……蓮二……?」
「しゅ……まん」
「私、これでも真剣に悩んでるのよ!?
付き合い始めて、かなりたつのに、キスさえまだ何だから!」
「それは、すまなかったな。俺のデータも更新しておこう。キスもまだとはな……。流石にキスくらい、とっくに済ませていると思っていたのだが」
普通は、そうなんだよね。
蓮二の言葉で、改めて思ったんだけど……
私の事、どう思ってるんだろう……
「。弦一郎の事で、悩んでいるのであれば、弦一郎に直接言わなければ、解決はしないだろう。」
何か、最もらしい回答なんだけどさ。
それでは、答えにならないんだけど。
「明日から、テスト前になって、練習は休みだ」
唐突に何をいきなり?
「明日、弦一郎と2人で放課後、桜の木の下に行ってみるがいい」
「何で?」
「行けば、分かる」
謎の言葉を残してその場をあとにする蓮二。