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黄色い花の冠を君へ

第1章 貴方が来るまで…


キャラ…あれはニンゲンだ。初めて見た。確かにあずととりえるは白い毛でふさふさしているのに対してキャラは私と同じ肌をしている
この世界にニンゲンが来るなんてこと可能なのだろうか
「あずごあ」
「ん?どうしたんだい」

「きゃらはどこから来た?」

「………彼は、落ちてきたんだよ。地上の世界から。それを息子が見つけて家で引き取ったんだ…本当はニンゲンは私たちの宿敵であるし、バリアを壊すタマシイの源でもある。だからこんなことしたらご先祖様に叱られちゃうんだけどね。
けれども息子を見ているとどうもそんな気がしなくなってくるんだ。今や彼は息子の大事な友達だよ」

「もし、きゃらが帰りたいって言ったら…?」

「難しい質問だね。その時によるかな。今の状態ではそれは不可能だけれど、彼がそう望むなら命がけでその方法を見つけるかもしれない
そんなこと考えたこともなかったな…なんせ彼は何故か元の世界に帰りたがらなかったから」

そう言ってアズゴアは笑った。その拍子でふさっと動いたあごひげにいつか触ってみたいと思った

「ノエラこっちへおいで」

連れてこられたのは大きな部屋。真ん中には大きい椅子が二つ置いてあった。窓ガラスからちらちら差し込む光は幻想的な雰囲気を醸し出していた

「とても気分がいい。ここに花とか植えたら育ちそう」

「ははは、玉座に花か。いつか仕事が落ち着いたらやってみよう
私もここはお気に入りでね、時々足を運ぶんだ」

「みんなは地上に出ることを望んでいる…?」

「そうだね」

「けど私は分からない。自分がどうしたいのか、このままで幸福なのか苦痛なのか…このままみんなといても…」

「その答えは…私が言ってもきっとしっくりこないだろう
ただ、君の父親は偉大だった。地下世界に追いやられて、どうすればいいのかと絶望していた時に、君の父親は住処を提供してくれた。もう一度、日の光を浴びることができるんじゃないかという希望を与えたんだ。
前を向きなさい。そして君がその父の娘であることをもっと誇りなさい」

おとうさんは時々ぶっ飛んだことをし始めるが嫌いではなかった。私は作り物
おとうさんが私に娘という称号を与えてくれた。
自分がなんであるかを
じゃあ、亡き今は私は一体何なのか…

おとうさんのことを褒められてくすぐったい気もしたけれど、失ったことを悔やんだ自分もいた
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