第15章 悪夢の始まりと解放のおわり(Gルート)ちょっとキャラ寄り
サンズは血相を変えて戻って来た。弟は?と聞こうとしたが彼の手には彼のお気に入りだった真っ赤なスカーフが、絞られるように握り締められていた
「王宮へ向かうぞ」
それだけ言うと、部屋のドアを閉めた
渡し守さんの船に揺られながら、向かうはホットランド。
「サンズ…」
未だスカーフを握りしめている彼に静かに話しかけた
「あいつは……最後まであのニンゲンを信じていた。
だから、いつまで経ってもロイヤルガードになんかなれないんだ。優し過ぎるんだ、あいつは…」
「…」
長い長いエレベーターの中、王宮に着いたとてこれからどうするというのだろう。奴は必ずここへ来る。王様に助けを求めるのか?
ここもいずれ…
「…サンズ、今は放っておくのが一番危険だよ…」
その言葉で彼の青いパーカーがピクリと動いた気がした。お互いラボ出だから分かる。ニンゲンの持つケツイの脅威、レベルオブバイオレンスの力。終着点でもあろうここに奴がやって来た時、困るのは私達の方だ
「…」
彼は、何も言わなかった
たどり着いたのは大回廊。この先に王、パパがいる筈だ
ここで足を止めた。
「?」
「ここで食い止める」
「どうやって…?」
左手をスッと掲げると、背後に”ガスターブラスター”が現れる。おとうさんが作った兵器だった
「これでもオイラは審判の役目を持っててね」
「さぼり癖のくせに?」
「ああ、お前さんの親父からの任命でな」
「…!」
「今までのニンゲンの行いを顧み、それ相応の道を与える。言わば執行人だよ」
だから、最期に立っていなくちゃならない。そう言いたいのだろう。父の形見である竜の頭の骨を模った白いブラスターを撫でてやると、くるるると小さく声を上げた
「奥で隠れてろ。あいつが回廊に来たときは、”全てが終わった”時だから覚悟はしておけ」
「…大丈夫なの?」
「なあに、あいつはケツイを持っている。懲りずに向かってくるなら、
また撃ち落とせばいい話だ」
そう言うと、私に背を向けてそれっきり話さなくなってしまった
ああ、神様、みんなを置いてきて、見殺しにしてしまった私をお許しください。
どうか彼にご加護があらんことを…
<さあ、本当の悪夢はこれからだ>
「よう、忙しそうで何よりだな」