• テキストサイズ

黄色い花の冠を君へ

第1章 貴方が来るまで…


驚いたわ。スノーフルのまちで本を借りた帰り、ニンゲンに似た女の子が道端に倒れているんですもの。体はもう凍りきっていて命が危ない状態だった。すぐに家に連れて帰って治療をしたわ

「あ、ママお帰り」

「トリィ、その子は…」

「スノーフルのまちで拾ったの。誰の子かわからないけれどとにかく容体がひどいの。すぐに温めてあげなきゃ!アズリエル、キャラ、しばらく部屋を貸して!」



二日ほどして部屋を訪れた時、あの子は目を覚ましていた。

「あら、目が覚めたのね」

「…」

あの子は虚ろな目で私を見つめるだけで何もしゃべろうとはしなかったわ

「寒くて大変だったでしょう?少し待っててね。今暖かいスープを持ってきますからね」


「さあ、遠慮はいらないから食べなさい」
どんな反応を示すのかじっくり見てみると意外にもがつがつと食べ始めた

「おなか空いてたの?ならそう言ってくれればよかったのに。おかわりもってくるわ」

「どうぞ」
でも、不思議なことにおかわりはなかなか食べようとしないの

「変ねえ…」

「トリィ、子供が目を覚ましたって?」

「あなた、目は覚めたんだけどちょっと不思議なことが起きてて…」







「ーなるほど、二回目は食べようとしない…か」

「さっきの食べっぷりから見ておなかがいっぱいになったってことは考えにくいんだけど…
知らない人の家だからって我慢することないのよ?おなかが空いているなら元気になるためにもちゃんと食べなさい?」

するとあの子は食事を再開させたの
「もしかして、命令形の言葉に反応して行動しているんじゃないかい?」

「…今までそんな環境で暮らしてきたってこと?」
私はこの子のことがたまらなくかわいそうに思えてきて、親御さんに返す必要はないのではという母親としてあるまじき考えまでもってしまったわ

「おとうさん…」
初めて口を開き放った言葉は自分の家族のこと。そうよね、ひとまず様子見でもこの子の家族のことを知らなきゃ

「君のおとうさんの名前を教えてくれ。覚えているかい?」

「…

ガスター博士。

みんなはそう言ってた」


「「!!!」」
/ 68ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp