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黄色い花の冠を君へ

第1章 貴方が来るまで…


その後おとうさんがいなくなったことを機に研究員たちはバラバラになって行った。今も研究を続けているのはアルフィーぐらいだ。アルフィーは身寄りのない私をかくまってくれた

「ガスター博士よりいい家族になれる自信はないけれど、一緒に暮らせばあなたもきっと安心できるわ」

関係はうまくいっていた。が、アルフィーがおとうさんから受け継いだケツイの研究が失敗し、数多くのアマルガムができてしまった。もとに戻す研究、親族からの対応にも追われてついにアルフィーの心は病み始めてしまった。私は助けることもできずなんと声をかけたらよいか、どう慰めてあげたらよいかわからなかった。私の最大のエラーは自分の心がわからないことだった

気がつけば私はラボを後にし、行先もなく走っていた。まるでアルフィーの存在を否定している意味にもなってしまうことをしたと思ったが後に戻る気はしなかった

どれくらい動いただろう。辺りはもう雪だらけだった
「もしかして…ここがスノーフルのまち?」
もちろん私は厚着などしていないから寒さで凍えていた。手が真っ赤になってかじかんでいる
そのうちに足まで操作がおかしくなり、ついには雪の上に倒れる。雪は冷たく、フカフカなはずなのに全身が焼けるように痛い
ああ、もう動ける気がしない…
このまま私は朽ちてゆくのだろうか
自分勝手に家を飛び出し、勝手に死んでいく
我ながら父親に似ている
もう、瞼が重い…


「大丈夫?」
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