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黄色い花の冠を君へ

第1章 貴方が来るまで…


パパとママが呼んだ医者は間に合わなかった。二人ともしばらくキャラのベッドの上で泣いていた

しばらく後にアズリエルは二人に最後にせめて思い出の場所に連れていきたいと懇願し、私と二人で例の遺跡に来ていた

「アズ…」

「行かなきゃ…キャラの思いを無駄にしたくない」
アズリエルは彼のタマシイを取り込んだ。アズリエルの姿は見たこともない形相に変化した。背は私よりもずっと大きいし、頭にはママに遺伝した長い角が生え、目はモンスターという名にふさわしい恐ろしく鋭い目つきに変わっていた

「怖い?」

少しおかしな反応をしてしまったのかアズリエルに心配されてしまった

「ううん、でもいつものアズの方が好きだな」

アズリエルは笑った

「昔ね、キャラが話してたんだ。あの金色の花を地上の世界で見たことがあるって。きっとそこがキャラの話してた故郷の花畑だ。ここからは僕一人で行くことになる。ノエラは家に戻ってて。すぐに帰ってくる」

「…アズ…無事でいて」

私はアズリエルの大きな鼻が縦に動いたのを確認すると家へ足を進めた
なんだか嫌な予感がしてならない



「アズリエル!!!!」
王室から聞こえたパパの声を聴いてママと私は一目散に駆け付けた
そこには傷だらけになって帰ってきたアズリエルがいた

「アズリエル!!/アズ!!」
駆け寄って傷の状態を見ると、槍が何本も背中に深く刺さり、その他正体不明の武器で傷つけられた跡が数十か所にも渡ってあった。随分長い間この状態だったようでアズリエルはもう持たない

「アズ!?これ誰にやられたの!?みんなニンゲンがアズをこうやって虐めたの!?」

「ノエラ…ごめんね、キャラの亡骸置いて…きちゃった。でも花畑には着けたよ。せめてそこに寝かせておけたから…」

「アズのばかっ!!そんなこと聞いてない!
やめてよ、もう誰も消えないでよ……!」

「…ノエラ、僕の友達でいてくれて、家族になってくれてありがとう…」

呟くとアズリエルの体は塵となって消え、王国にアズリエルの塵が降り注いだ。私は最後まで握っていたアズリエルの手だったものをいつまでも見続けていた
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