第8章 試合の前日
谷中さんもそうなのか…と少し残念な気持ちで密着する2人の背中を見つめていると、谷中さんが肩越しに振り向いた。
「さんはまだコンディションチェック終わってないメンバーのとこ、回って来てくれる?」
『あ、、はい……』
柔らかい口調が逆に「こっちに来るな」と言っているように聞こえ、私はその場から離れた。
今日は選手と話しても良いんだ…と内心ホッとしながらパッドでデータをチェックしていく。
ーーーーあれ?そう言えば、、、
『凪がいない……?』
室内を見回しても姿はなく、首を捻る。
まだ食堂にいるのかな?
でも玲王の事だから凪を置いて先に一人で来たりしないよね…。
玲王に聞こうにも、谷中さんが隣をキープしてるし…。
凪の事だからどこかでサボってるとか?
ーーーーもしかして…
ふと、ある場所を思い付き私はそこへ足早に向かった。