第1章 幼馴染
そんなある日の夜。
数ヶ月ぶりに予定が合い、私は久しぶりに玲王の部屋を訪れた。
『なんか、部屋の雰囲気…変わったね。』
広々とした部屋をぐるりと見回すと、壁にはサッカーのユニフォームらしきものがかかっている。
それに以前は本棚の大半は参考書が占め、他にも株や投資などの難しい本が並んでいたけれど、今は新たにサッカー関連の本がずらりと並べられていた。
「そ?つーかうち来んの久しぶりじゃね?」
『いや…私は何度も来ようとしたんですけど…?』
携帯をいじっていて目を合わせようとしない玲王にジトッとした視線を送る。
「ハッ、そっか。わり〜。」
玲王は大して悪びれる素振りもなく、携帯で動画を見ている。
『・・・さっきから何観てるの?サッカーの動画?』
ベッドに寄りかかるように座っていた玲王の隣に腰を下ろしチラリと画面を覗き見る。
「ん。つーかこの選手のトラップがマジで凄えの。
観ててすげーワクワクする。」
『と、トラップ…、、、?へぇ…』