第6章 初仕事
「ーーーそんなとこ突っ立ってられたら目障りなんだけど?
暇なら隣の部屋のマシン掃除とモップ掛けでもしてきて。」
冷めた口調でそう言い放つ彼女の顔は不機嫌そのものだった。
『は、、はい……。』
ーーーー何か凄く機嫌悪い、、、?
昨日、挨拶を交わした時の表情とはあまりの違いに困惑を隠せないでいると、谷中さんはゆらりと立ち上がった。
そして私の前に立つと、腕を組み眉を顰めた。
「あなたがどんなコネを使ってここに入ったのかは知らないけど、この棟の担当トレーナーは私だから。
あなたはただ黙って雑用をしてれば良い。
選手と関わる事は一切、しないでちょうだい。」
『え……?』
「地味な見た目におどおどした態度。
世間知らずのお嬢様か何だか知らないけど、あなたみたいなタイプ、私嫌いなの。」
『・・・・。』
言葉を失い呆然と立ち尽くす私を谷中さんは一瞥すると、トンッと肩をぶつけてきた。
「ーーーどいて、邪魔。」
『っ、、、』
彼女はそのまま部屋を出て行き、私はあまりの衝撃にその場に蹲った。