第5章 迷子
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とりあえず事の経緯をオレンジ髪の人が話してくれた。
「で、國神はそいつらの顔は見たのか?」
「いや、見れなかった。でも、あいつらが逃げた先はチームWの入り口だ。」
「チームWって…明日の俺らの対戦相手じゃん⁉︎」
「あぁ。潔、明日の試合、ぜってぇ勝つぞ。」
「おうっ‼︎死んでも勝つ‼︎‼︎」
『・・・・。』
会話を聞いていると、2人の視線が私に向けられた。
「ーーー顔色、良くなったみたいだな?少しは落ち着いたか?」
『はい…。もう大丈夫です。』
頭を下げると、オレンジ髪の人は「良かった。」と口元を緩めた。
「俺は國神、こっちは同じチームZの潔。
えっと、、」
『あ、です。
今日、ここに来たばかりで…部屋に戻ろうとしたんですが道に迷っちゃって……。』
「わかるーー‼︎俺も最初迷ったんだよ〜。
同じとこグルグル回って訳わかんなくなっちゃってさ〜。」
潔さんは頭を掻きながらハハハ、と苦笑いを浮かべた。
潔さんも迷ったんだ……ちょっと親近感湧くなぁ。
初対面の男の人と話すのは苦手な筈なのに、國神さんと潔さんの人柄の良さからか、不思議と話しやすくて気づけば自分から口を開いていた。
『さっき食堂を出た筈がまた目の前に食堂があるんです…もうパニックでした。』
「ブハッ!マジか〜‼それ︎俺よりやばいじゃん‼︎」
やばいですかね?と眉を下げるとマジでやばい!と笑う潔さん。
そんなやり取りをしていると、國神さんがブッと吹き出した。
「ーーーお前らなんか似てんな(笑)」
『・・・・。』「・・・・。」
お互い顔を見合わせ同時に首を傾ける。
その見事なシンクロぶりに、
「お前ら兄妹か?(笑)」
と笑う國神さんを見て、私と潔さんもつられて笑った。