第3章 トクベツ
コンコン
『ーーー玲王、私。』
中からどーぞ、と返事が聞こえ、部屋の中へと足を踏み入れる。
「よぉ、遅かったじゃん?勉強?」
玲王はリラックスした様子でベッドの上で本を読んでいた。
『う、うん。そんなとこ…。』
ーーー本当はもっと早くに着いてたんだけどね…。
おじ様には自分と話をした事は玲王には内緒にするよう言われた。
私は嘘が顔に出ないよう、玲王に背を向ける体制でベッドに寄りかかるようにして座った。
玲王はそういうトコ昔から目敏いからな…。
すると、後ろからパタンと本を閉じる音が聞こえた。
「・・・・何かあったのか?」
いつもと違う空気を感じとったのか、顔色を伺うように玲王が聞いてきた。
『ーーーえ?何も?何もないよ。
てゆーか玲王こそどうかした?何か話、あるんじゃないの?』
口元に笑みを貼り付けて後ろを振り向くと、
思いの外、真剣な表情の玲王と視線が重なった。
じっと見つめられ、心臓が音を立てる。