第2章 秘密の場所
次の日、私はおにぎりをいつもより1つ多く作った。
別に"なぎ"と約束なんてしてないし、彼が屋上に来るかも分からないけど、何となく…
本当に何となく作ってみた。
昼になり、いつものようにランチバックと本を持って階段を上がる。
今までだったら誰かいる時点で他の場所へ移るか、もうそこに行くのはやめようって思うのに、不思議と"なぎ"の醸し出す空気感は嫌ではなかった。
むしろ今まで会った事のないタイプで少し興味すら湧いていた。
ガチャ
扉を開け、ぐるりと辺りを見回す。
『・・・いない、、か。』
そこに"なぎ"は居なかった。
ーーー毎日、来るわけじゃないんだ。