第2章 秘密の場所
『え?お昼、食べてないんですか?』
「うん。パン持って来たけど授業中に全部食べちゃった。」
『じゅ、授業中、、⁇』
「また買いに行くの面倒くさいし……いーや。」
再び目を閉じて寝ようとする"なぎ"。
お腹鳴るほど空いてるのに寝るの⁇
私は自身のランチバックに視線を落とし、恐る恐る話しかけた。
『あ、あの、、、もし嫌じゃなかったら、おにぎり食べますか、、、?』
「え?食べる。」
突然ムクリと起き上がるから肩がビクッと震えた。
『足…痛い思いさせちゃったから…。
そのお詫びに良かったら…。』
ランチバックからおにぎりを2つ取り出して、どーぞ。と手渡した。
「足なら平気だけど、じゃあ遠慮なく貰う。」
『はい。』
覇気のなかった表情が少しだけ明るくなったように見えて、何だか少し嬉しい気持ちになる。
「あ、でもアンタの分無くなるから1個でいーよ。ハイ。」
『え?あ、、、じゃあ…。』
ペコッと頭を下げておにぎりを受け取ると、"なぎ"が不思議そうに首を傾けた。
「・・・・これ、アンタが作ったの?」
『はい…。カタチ不恰好ですよね、、』
ハハ、、と苦笑いを浮かべる。
「何か爆弾みたい。」
ーーーーば、ばくだん⁇
手元のおにぎりに視線を落とすと、確かに海苔で真っ黒だし、上手く三角に握れないから形は丸くいびつだ。
確かに真っ黒だし、、爆弾に見えなくもない…。
『すっ、すいません!人に食べてもらうような仕上がりじゃないですよね…』
恥ずかしくて顔に熱が集まる。
「別に、見た目なんて気にしないし。
てゆーか普通に美味い。具がいっぱい入ってる。」
ぱくぱくと頬張る姿を見て、味は気に入ってもらえたのかな、と少しホッとした。
「玲王の幼馴染なんだからアンタもお嬢様なんでしょ?
おにぎりとか作るんだ。」
『あ〜……私いつも1人だし食堂とかは行きづらくて…。おにぎり持ってくれば本読みながら片手で食べれるから良いかなって思って…。』
俯きながらパクッと自身のおにぎりを齧る。
向かいからは「ふーーん。」という返事が一言、返ってきた。