第18章 三次選考 ノルマ
5人の視線を一斉に受け、私は慌てて姿勢を正した。
『こ、こ、こんにちは…!語学学習のサポートに来ました、です。
宜しくお願いします…。』
3チームめにして初めて全員が勉強に取り組む姿を見て動揺していたせいか、お辞儀をした拍子に鞄からバラバラと書類が床に散らばってしまった。
やば、、来て早々恥ずかしい、、‼︎
『すっ、すいません…』
おっちょこちょいやなぁ、と笑う烏さんに苦笑いを向けながら紙を拾っていると、誰かが紙を拾ってくれていた。
その人は全部の紙を拾いあげると、
「フッ、緊張してる?大丈夫だよ、気楽にやろう?」
と優しく微笑み「ハイ、これ。」と紙を手渡してくれた。
『・・・ありがとう、ございます…。』
「どーいたしまして。」
丸眼鏡を掛け柔和な笑みを浮かべるその人はーーー
雪宮剣優さんだ。
雪宮剣優
二次選考が始まる前、伍号棟以外の選手も覚えなきゃとデータを確認していた時、ふと何処かで聞いた事がある名前だな、と思った。
どこでだろう…と考えながらデータを見ていくと、モデル事務所に所属している旨が書かれていて、成る程。と納得した。
女友達…では無いけれど、流行りに敏感そうなクラスメイトが雑誌を見ながら黄色い声で彼の名前を連呼していた事があった。
それにしてもさすがモデルさん…‼︎
間近で見る雪宮さんは身長が高いのは勿論、端正な顔立ちに眼鏡が良く似合っていて、女子ならポッと顔を赤らめてしまうような雰囲気を醸し出している。