第15章 自覚する想い
『・・・その後、脚の調子はどうですか?
1stステージでかなり脚、酷使しましたよね…。』
持参したクリームを手にとり、人肌程度に温める。
「確かに結構キツかった。やっぱスタミナ不足が顕著に出てるよな…。
もう少し早くクリア出来てれば潔達に追いついたのに。」
千切さんは悔しげに眉を寄せるとため息を吐いた。
露わになった右脚には相変わらず痛々しげな手術痕が残っている。
『まだ二次選考、始まったばかりじゃないですか。
焦っちゃダメですよ?
千切さんのスピードはブルーロックの中で唯一無二なんですから、きっと大丈夫です。』
だからどうかまだ千切さんの夢を終わらせないで下さい、と念を込めて右脚の筋肉を少しずつ解していく。
ん?
反応が返ってこないのを不思議に思い顔を上げると、千切さんはそっぽを向き手の甲で口元を隠していた。
『すっ、すいません…‼︎
力、強いですか?痛かったですか⁈』
長い髪を掛けていた耳が薄く赤くなっているのに気付き慌てて手を離した。
「違っ//痛くない、、大丈夫だから…続けて。」
『・・・?わかりました…。』
千切さんがこんな風に焦るの、初めて見たかも…。
珍しく何かに動揺したように視線を宙に向けて気持ちを落ち着かせるような仕草をしている。