第14章 ☆shortエンディング
そして再び静かになったフィールドで、ぽつんと残された玲王に目線を戻すと、
「・・・こんなトコに突っ立ってねーで早く親父に報告してこいよ。」
『え、、、?何言って、、、まだ選考、終わってないじゃん……』
まるで二次選考を諦めたかのような口ぶりに私は思い切り眉を寄せた。
すると玲王はゆらり…と力無く立ち上がる。
「・・・この試合でよーく分かったよ。
俺は凪がいたからここまで上がってこれたんだって……。
凪という相棒を失った俺はもう終わったも同然だ。」
『なっ、、、』
その瞳は昏く目の前にいる私ですら映してないほど絶望感に満ちていた。
これがいつも自信に満ち溢れた玲王と同一人物なのかと疑いたくなる程の姿に言葉を失う。
ここまで彼の心を抉ったのは試合に負けたからだけじゃない……
きっと試合直後の凪とのやり取りが玲王をこんな風に曇らせてしまったんだろう……。
玲王は試合後のライバルリーで自分を選ばなかった凪に向かって、
"お前は変わった、2人で世界一になる約束も忘れる人間になった "と感情をぶつけた。
それに対し凪は感情の篭らない目で玲王を見下ろし、
"俺らの約束を忘れてんのはお前だ"と。
そして "面倒臭いよ玲王 もう知らない。"と言い放ち背を向けてしまった。
二次選考に入りボタンを掛け違えたかのようだった二人の関係が、ここに来てまた深い亀裂を生んでしまったのだ。
あんなに仲が良かった、"仲が良い"だけでは片付けられない程2人の間柄は特別なものだったのに、、、、
こんな事になるなんてーーー
2人の事を思うと胸が押し潰れそうなやり切れない気持ちになった。