第12章 番外編 ゴッドハンド その①
2人が言い合いを始めるのを横目に、まだ片していなかったマットの上に凪がゴロンとうつ伏せになった。
「、ついでだからマッサージしてー。」
『え?良いけど……あまり時間ないよ?』
「んー。」
パタパタと足を動かす凪が何だか大きな犬のように見えて思わず口元が緩む。
『じゃあ少しだけ』と私も凪の傍に腰を下ろした。
それにしても、凪は良い体格してるなぁ…。
背中から腰にかけ手を這わしながらふと思う。
ここ最近、選手をマッサージする機会が増えたお陰で人それぞれ筋肉のつき方、質の違いが少しずつ分かるようになってきた。
『・・・凪の筋肉ってしなやかだよね。
堅と柔のバランスが取れてて。
だからあんなに高く飛べるんだね、、、』
独り言のように呟きながら凪の身体を跨ぎ、次は腰や臀部を揉み解していく。
「・・・の手って何か気持ちーね。
マジで神の手ーー。」
リラックスしてくれているのか眠そうな声が返ってきた。
『フフッ、だからそんなんじゃないってば、、』
凪の反応に笑いを零していると、突然玲王が声を上げた。
「あぁ‼︎つーか凪っ‼︎何ちゃっかりマッサージ受けてんだよ⁇」
「えーー、いいじゃん別に。
、今のところもっかいやってー。」
『えっ?あ、ここ?』
臀部と足の付け根あたりを押すと、
「うん、めっちゃ気持ちいー。やばい、もう動きたくないかも…。」
『気持ち良いのは良かったけど、凪は運ぶの大変だから寝ないでね?(笑)』
「もう部屋戻んの面倒臭〜〜。」
そんなやり取りをしていると、ふと冷たい視線が突き刺さるのを感じた……。