第12章 番外編 ゴッドハンド その①
『はい、これで終わりです。
お疲れ様でした。』
「うわ〜〜…何か今ならすげー速く走れそうな気がするよ‼︎
さんありがとう〜‼︎」
目をキラキラと輝かせお辞儀をして去っていく選手に、私は苦笑いを浮かべながら手を振った。
ーーーそんなワケないよ〜……と心の中でツッコミを入れるも、何より前向きな気持ちになったんだからそれはそれで良いのかな、と思う事にしている。
『さて、と……。』
消灯の時間が近づきそろそろ部屋へ戻ろうと荷物を纏めていると、扉が開く音がした。
『ごめんなさい、今日はもうお終いって、、、え⁇3人揃ってどうしたの…⁇』
もう時間がないからケアは断ろうと振り向いたそこには玲王と凪、斬鉄さんが立っていた。
「斬鉄のバカがどーしてもにケアして欲しいんだと。」
玲王が呆れ顔でそう話すと、斬鉄さんは眼鏡をずり上げながら、
「そのゴッドハンドに触れられた者は身体の中の悪玉菌がたちまち消えるという噂を聴いた。
だから俺の頭の中にある悪玉コレステロールを消して貰おうと思ってな。」
『ーー悪玉菌、、?』
斬鉄さんの話す内容がよく分からず首を捻ると凪が面倒臭そうに口を開いた。
「斬鉄、頭が良くなりたいんだってー。」
『えぇっ⁈そ、そんなの無理に決まってます‼︎
私にそんな能力は無いし…そもそもゴッドハンドでも何でもないですよ⁇』
斬鉄さんに弁明するも、当の本人は小難しい顔をして眉を寄せている。
「同じチームのやつはに触られたら腹痛が治ったと、ゴッドハンドだと言っていたが?」
・・・・それって確か、、数日前の記憶を手繰り寄せる。
『その方は試合前に緊張でお腹が痛くなるって言ってたので……
リラックス方法と緊張しないようルーティンを作ったらいいのでは、とアドバイスをさせて貰っただけですよ?』
「そう、なのか…?」
言葉を詰まらせる斬鉄さんの隣で玲王が鼻を鳴らした。
「だから言ったじゃねーか。
つーかそもそもお前の空っぽの頭をどーにかすんのなんてまず無理だっての。」
「なんだと⁇何故俺の頭が空っぽだとわかるんだ⁇ ITで見たのか⁇」
「いや、、それ言うならCTだろ。
そうゆうトコがバカだって言ってんの。」
「俺はバカじゃないっ‼︎」