第10章 傷を癒すのは…
谷中さんが私に強い嫉妬心を抱いてるのはここ数日で感じていた。
その嫉妬の原因が玲王だということも。
彼女からしてみれば幼馴染の私は邪魔でしかない。
だからその邪魔者を排除しようとした…。
それは今まで何度となく受けてきたイジメと同じ。
玲王の側にいれば降り掛かる火の粉のようなものだから、今回も黙っておこうと思ってた。
「・・・俺、ちょっと出てくるから凪、の事宜しく。」
「ん。」
『えっ⁈玲王っ、、⁇どこ行くの⁉︎』
立ち上がり部屋を出て行こうとする玲王に慌てて声を掛ける。
「あの女んとこ。話つけてくる。」
『いいよっ、そんな事しなくて‼︎私は無事だったんだし…。
問題を大きくしたくないの……‼︎』
玲王はピタリと足を止めると、ぎゅっと拳を握った。
そして肩越しに振り向き声を荒げた。
「無事じゃねーだろっ‼︎どこが無事なんだよ⁈
怖い思いして殴られて、、、そんな痛々しい顔して何言ってんだよ⁇」
『ーーー……。』
「お前が良くても俺は許さねーから。」
そう言い放ち、玲王は部屋を出て行ってしまった。
パタンッと勢いよく閉まった扉を私はただ見つめるしか出来なかった……。