第10章 傷を癒すのは…
『そんな、、大丈夫です……。
私よりお2人の方こそ休まないと。試合で疲れてるのに…』
「いやいや、あんな事があったのに1人にしておけないだろ?
まぁちょっと居眠りはしたけど。
つーか誰かさんはちゃっかり手なんか握って寝てるし。」
千切さんのジトっとした視線に気付き、慌てて手を離した。
その時、自分の手首に縛られた跡が残ってるのに気付き、そのままさりげなく布団の中に手を隠した。
『あの……本当にすいません…。千切さんも國神さんも打ち上げ、参加出来なかったですよね…。せっかくあんなに準備してたのに…。』
「それがさぁ、ひでーの。
俺が部屋戻ったら皆んな爆睡してて。
部屋はぐちゃぐちゃだし食べたもんはそのまんまだし、布団と枕は散乱してるしで打ち上げどころじゃ無かった。
だから気にしなくていい。」
千切さんは目を細めて優しく微笑んだ。
千切さんの優しい気遣いと、巻き込んでしまった申し訳なさでじわりと涙が溜まる。
『ッ、、ありがとうございます……。』
「・・・いや、俺は何もしてない。
部屋に戻る途中で國神が気づいたんだ。
何か音が聞こえたって。
俺は気のせいだろって言ったんだけど、こいつの事になると異様に心配症になるから。」
千切さんはフッと笑うと寝ている國神さんに視線を向けた。
「いつもはチーム内で喧嘩になったら真っ先に体張って仲裁するのに……。あんな風に人を殴る國神を見たのは初めてだった。」
『・・・・はい。少し、、驚きました…。』
「まぁそれぐらい國神の中では大事なんだろうな。」
『え、、、、』
「まさに正義のヒーローって感じ?」