第9章 SOS
馬乗りになっていた男は私の鎖骨あたりを指でなぞるとニヤリと意味深な笑みを浮かべた。
「この跡つけたのって最近だよなー?
お前…この棟の誰とデキてんの?
教えたらここで止めてやってもいーけど?」
「おいっ!何勝手な事言ってんだ、、」
「お前は黙ってろっ‼︎‼︎」
男の怒鳴り声に肩がビクッと震える。
「こっちは脱落してむしゃくしゃしてんだよっ‼︎
お前とデキてる奴がまだメンバーとして残ってるならSNSで拡散してやる。
そいつはブルーロックの中で女誑しこんでヤりまくってるってな。
そうなりゃそいつのサッカー人生終わりだな(笑)」
『ーーーッ』
先程とは違い、男の目は憎悪に満ちていた。
けど、そんな事を言われて名前なんか言う訳ない。
そもそもそんな事実はないし、脱落して自暴自棄になってるとはいえ、そんなやり方で他の選手を貶めるやり方は卑怯だ…‼︎
私は男をキツく睨み上げ、首を大きく横に振った。
すると、
パァンッ
『ーーーー‼︎⁉︎』
乾いた音が響くと同時、頬に激痛が走った。
「おいっやめろっ‼︎顔なんか殴ったら跡残んだろ⁈バレたらどーすんだよっ⁈」
「いちいちうるっせーなっ‼︎‼︎
俺らが朝から夜まで必死こいてサッカーしてんのにこいつらは裏でコソコソと楽しんでたんだぞ?
いーか?相手の名前言うまで何回でも殴るぞ⁈
ぐちゃぐちゃの顔にされたくなかったら早く言えっ‼︎‼︎」
「・・・お、おい、、」
目の前の男は呆然とする私の髪の毛を掴み上げると、口に入れられたタオルを乱暴に掴み取った。
『カハッッ、、、はっ、、』
息苦しさから解放されたけれど、痛みと恐怖心から声が喉に張り付いてうまく出せない。