第8章 試合の前日
一通りのマッサージを終え、『お疲れ様でした。』と声を掛け、捲った裾を元に戻していく。
「最初はどんな事されんのかちょっと不安だったけど、めちゃくちゃ上手いと思うよ?アンタのマッサージ。」
そう話す千切さんの表情は柔らかくて、褒めて貰えた事が嬉しくてつい前のめりになる。
『え⁈ほんとですか…⁇』
「うん、俺お世辞とか言わないから。
お陰で足、すっげー軽くなった。マジでさんきゅ。」
『良かったです…‼︎私の方こそ勉強させて頂きありがとうございました‼︎』
ガバッと頭を下げると、千切さんがプッと吹き出した。
「アンタ、面白いね。」
『え……?』
初めてそんな事を言われ、思わず耳を疑った。
「ギャグ的な意味じゃなくて興味が湧くってコト。
気弱そうでおどおどしてんのに、時々周りがびっくりするような事言ったり。
一歩踏み込んでみると真っ直ぐで真面目な面が見えたりして、見てて飽きないよ。。」
『なんか、、千切さんのようなキラキラした方に言われると…凄い嬉しいです…。』
絶対私より女子力高そうだし。
髪の毛サラサラで良い匂いするし。
「つーかさ、昨日のチームVの偉そーにしてた奴より、うちのヒーローの方がにはお似合いなんじゃねーの?」
『・・・・ヒーロー?』
チームZにヒーロー…⁇
誰の事だろうと首を傾けると、千切さんは何でもない、と首を横に振って立ち上がった。