第8章 試合の前日
ーーその日の夜ーー
ようやく仕事が終わり、最後に備品チェックをする為通路を歩いていると、ある選手と出くわした。
あの人は……
赤色の長髪に中性的な綺麗な顔立ち。
千切豹馬さんだ。
昨日のチームWとの試合では快足を武器に勝利へ貢献し、大活躍だったという事は昨日モニタールームで確認済みだ。
「あれ、アンタ確か、、、」
『お疲れ様です……えっとサポートスタッフのです…。』
ペコッと頭を下げると、千切さんは「あ。」と何か思い出したように声を上げた。
「昨日、軽く修羅場っぽくなってたけど、大丈夫だったの?まぁ深くは詮索するつもりはないけど。」
『あー…はい、、大丈夫です…。
お騒がせしてすいませんでした。』
「そっか、なら良いけど。誰かさんが気になってるみたいだから聞いただけ。」
『・・・・誰かさん?』
「いや、何でもなーい。気にしなくていいよ。」
サラサラとした髪を片耳にかけ、チラリと目線を覗かせる仕草が妙に色っぽくてドキッとしてしまう。
何だか上手くはぐらかされてしまった…?
と思っていると、千切さんが手に持っているものが目にとまる。