第8章 試合の前日
「めんどくさー。」とボヤきながら気怠げに歩く凪の隣に並ぶと、改めて彼の身長の高さに驚く。
たしか190あるんだっけ…?
チラッと目線を上げると偶然にも凪と目が合い、咄嗟に前を向く。
いつも寝てる事が多かったから、肩を並べて歩くのが新鮮で少しドキドキしてしまう。
「ってこんなちっちゃかったんだね。」
『女子の中では普通ですよ?凪さん、、凪が大きいんですよ。』
「ふーん。」
『・・・・・・・。』
えーーっと、、、
何だか斜め上から物凄く視線を感じる…。
チラッと横目で確認すると、やっぱり凪の視線は私に向けられていた。
『な、何でしょう…?何か顔についてます…?』
「玲王の気持ち、ちょっと分かるなーって。」
『・・・・玲王の気持ち?』
「そ。アンタ見てると何か独り占めしたくなる。」
『・・・・。』
「あれ、、?また顔が赤くなったけど…大丈、」
『だっ、大丈夫ですからっ//問題ありませんっ‼︎
じゃあ気合い入れて今日も頑張って来て下さいっ‼︎‼︎』
ちょうどマシンルームの前に着き、私は凪を中へと押し込むようにぐいぐいと背中を押した。
自動で扉が閉まったところでフゥ…と息を吐く。
人が照れる事をサラッと言うからタチが悪い。
あんな事言われたら意識しちゃうよ…。
まだ熱の残る頬を掌で押さえ、私は掃除をするべく踵を返した。