第2章 友達以上恋人未満
彼は彼なり、何か考えての事なんだろうか。
私が考えたところで、全く分からないけど。もう今更教室に戻ったところで仕方ない。
私は大人しく蘭に手を引かれて、学校を出て街へ向かった。
平日の昼間に、制服で街を歩くのはいかがなものか。
不安になりながら、蘭の無駄にいい顔を見上げる。
「ねぇ、何処行くの?」
「んー? 何処行きたいー?」
「……き、急に言われても……」
遊ぶ場所で、あまり人目に付かない場所といえば。そう話し合った結果、カラオケへ行く事になった。
その後もいくつかの施設を回り、帰る頃には夕方だった。
「んー、いっぱい遊んだなー。楽しかった?」
「うん。蘭、もしかして、慰めてくれたの?」
蘭は私の質問に「さぁー、何の事だかー」と惚けて笑う。
そのまま手を繋がれ、家への道を歩く。
まるで、本当の恋人みたいで、獅音とならどれだけいいだろうと、蘭に失礼な事を考えて、その考えを打ち消すみたいに首を振る。
帰り道、蘭は他愛ない話をしてくれていて、嫌な事を考えずに済んだのは、凄くありがたい。
家の前に着いて、手は掴まれたまま向き合う。
「最後に一つ、質問していーか?」
蘭を見上げ、私は頷く。
「何で斑目なん? アイツの何がそんないーわけ?」
あまり深く考えた事がなくて、改めて聞かれると少し困ってしまう。
「うーん、言葉にするのは難しいなぁ……。確かに、喧嘩ばっかして、たまに負けてボロボロになってくるのに強がってたり、子供にでも分かるような嘘に騙されるくらいバカだし、すぐイキるし、メリケンサック持ち歩いてるのも意味不明だし」
言いながら、獅音を思い浮かべて顔が緩む。
「だけど、獅音はどんな時でも、ずっと一緒にいてくれた。私が辛くて泣いてる時は背中を撫でて、雷が怖くて怯えてる時は守るみたいに抱きしめてくれて、愚痴だって嫌な顔一つせず黙って聞いて、嬉しい時も楽しい時も、自分の事みたいに笑ってくれるの」
言いながら、やっぱり好きだと深く自覚してしまう。
そしたら、また鼻の奥がツンとした。
「いい顔すんねぇー……。そっか、まぁ、恋愛は理屈じゃないしってな」
優しい笑みで、蘭が私の目元を撫でた。
「泣きそうな顔してるな……ん?」