第4章 君と未来永劫
今から不安になっても仕方ないけど、いつか獅音の可愛さに気づく子が現れると考えるだけで、殺意が湧いて来ない事もない。
「……今日から毎日子作りするわ」
「は?」
「おー、大胆だねぇー」
手を強く握って拳を見つめた。
「じ、女子が、なんちゅー話してんだよっ……」
「あ、獅音」
廊下で獅音が居心地悪そうに立っていた。
「どうしたの?」
「いや、今日一緒に帰れねぇから、とりあえずそれだけ伝えに来た」
「……浮気?」
「なっ、何でそうなんだよっ、違ぇよっ!」
分かってて言ってるのに、いちいちリアクションが可愛い。
少し離れるだけでも寂しく感じてしまう。
「んな顔すんなよ……終わったら、会いに行く」
頭をくしゃりと撫でられて、優しい笑みが私を見下ろす。
未来の不安ばかり気にするのではなく、今ここにあるこの温かい小さな幸せを、たくさん掻き集めて、大切にしていく事にしよう。
立ち上がって、窓を挟んで獅音の耳に唇を近づけて、私が愛の言葉を囁いたら、あなたはまた赤くなって可愛い顔をするんだ。
それは、一生私だけが引き出せる、私だけの特権だから。
【完】