第4章 船乗りの休暇
《いや、勿体ないのはそうだけど。その謎ポジティブと卵は今は横に置いといて。それ完全にアウトだわ。警察行きな、郵便ポストにゴミ入れんのは郵便法七十八条で犯罪って決まってる。五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金ね。あとマンションの管理会社の人にも連絡しなよ》
はーーっ、と友人が長い溜息をついた。
《もう少し危機管理意識を持ちなよ。自覚無いけどアンタ美人よ?女優さんみたいな顔なんだから。警察署一人で行くの不安なら付き添うから》
「うん……その女優さんって前言ってたトモちゃんの好きなドラマの主演の人だよね?あんな綺麗じゃないと思うけど。でも管理会社の人に相談してみるよ、それで対策して貰って無くなればいいし」
旦那さんとはどう?等と話していると、三時間も経っていた。向こうも休みとはいえ話し込み過ぎた。
「そろそろ切るね、また……ん?」
どうした、と友人の声が聞こえるが。
友人と同時に、【龍水君】から通話が来ていた。電話に出るか切るか、尋ねるボタンがスマホに表示される。昨日航海が終わったばかりだが、何かあったのだろうか?
「ううん、何でもない。またねー」
見えないながらも友人に手を振って、は【龍水君】の方の通話ボタンを押す。