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我が先達の航海士

第4章 船乗りの休暇


《でもアンタそんな中で何とか出来たんだよね、船長補佐。仕事もう何年続けてんの?》
五年はやってるかなーとが指折り数えた。
《凄いじゃん。しかも一等航海士でしょ?船乗りは重労働な上、人間関係とかでバンバン辞めるのに》
私は船の事しか気にしてないから、とが言うと友人はそれもそうかもね、と笑った。

船乗りの労働環境は独特だ。一度海に出れば同じ面子と毎日顔を合わせる。相性の悪い船員も一人くらい居るものだ。普通の職場と違い、家に帰って落ち着けない。そんな中で一日四時間、二回の当直。当直外でも荷役等労働時間がある。船員学校をせっかく出られても、四割から五割は辞めていく。その原因第一位が『人間関係』なのだ。
 
《私は嫌な人と同じ船の上なの辛くて無理だったな。だって変に絡んでくる人居るでしょ、セクハラ野郎とか居ない?》
友人も辞めた同期の一人だ。年の離れた飛び級入学のとも平等に接してくれたが、人間関係とセクハラで一年で辞めた。
「いや、あんまり。私は基本女に見られないよ。最近ポストに『胸が絶壁』って投函あった位だし。だがしかし胸なきは動きやすくこの上なき幸せ」
の台詞に友人が感心と呆れ半分で溜息を吐いた。
 
《は変にポジティブな所あるよね。続いてる子皆そうだけど、前向きで切り替えがいいというか。てかポストのやつ嫌がらせじゃん!もしかして婚約した七海君が原因?ちょい詳しく聞かせな》
 
「はは、ありがとう。確かに龍水君との会見の後から変なの始まってるけど、大したことないよ。『ブス』『龍水君と不釣り合い』『おばさん』とか。あと割れた生卵とか生ゴミかな。卵が勿体ないよね」
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