第2章 First dreamers
「っと。こんなとこかな」
造船所の空き部屋。パイプ椅子に座り、机で向かい合い座るSAIと。入口には【龍水、立ち入り・覗き見・会話の盗み聞き禁止】と張り紙がしてある。
「あの。なんかごめんね……?」
「いや、いいさ。これくらい」
が項垂れるSAIを励まして、飲み物を置いた。自販機で買ったお茶である。ウチの自販機バリエーション無くてごめんな、と言いつつペットボトルの蓋を開ける。SAIも礼を言いつつお茶を飲んだ。
「改めて挨拶と行こうか。私は家の令嬢、だ。18歳、一等航海士。一人兄が居る。経営者として優れてる兄が跡継ぎだ。敬語は……まあ龍水があの様子だし気にするな」
ぐびり、とお茶を飲んでが向き合う。君幾つ?と頬杖をついて気軽に尋ねた。
「僕は、17歳だよ」
「若っ!」
いやいやいやっ!とSAIが否定するが、の事を何と呼べばいいか悩み言い淀む。
「でいいよ。龍水は結婚する気満々だから、将来君の姉になるがな」
「じゃあ……で」
少し悩みつつ呼ぶSAIに、が問う。
「SAI君。君は昔からあんな風に龍水にこう、構われたりしたのか?あと七海財閥なら君の才能を放って置かないだろう」
の台詞に、SAIがずーんと沈んだ顔で頷いた。