第2章 First dreamers
「僕は本当に無理やり働かされただけだからっ。決して龍水の言う天才とかじゃないっ!」
全力で言い切るSAI。造船はの担当だと思い込んでたは目の前でしゃがんでSAIに手を差し出す。
「分かったよ、ともかく君は普通の高校生でいいんだね。私は。そこの龍水と成り行きで許嫁になった者だ。よろしく」
SAIの顔が輝く。の手を握り返した。
「ありがとう!僕は七海SAI、東京の高校生だ」
違うぞ!?と叫ぶ龍水をスルーして下船する。
「龍水君。勿論SAI君にも何か労働の対価はあるんだよね?肝心の帆の設計やらせたんだろ」
「ああ。ちゃんと報酬として金銭は払ったぞ!あと他の部分も設計してるからな!!」
「一番アカンやつやん、それ」
はチベットスナギツネの瞳を発動した。何とも言えない虚無の顔に、ん?何が不味かったんだと龍水。全体的にアウトである。
「えっとな。まず高校生に仕事させちゃ駄目でしょ?しかもお兄ちゃんに無理やり」
「そうだ!さんの言う通りだっ、龍水!!」
SAIがの後ろにサッ!と隠れて顔を出す。
「あとな。多分対価とか依然にこう、もっと自由にしてあげて」
濁しつつが苦言を呈した。ウンウンとSAIが頷くが、肝心の龍水には伝わっていない。
「何故だ。SAIのこの才能、欲しくは無いのか?今後帆船を造る時にも必要だぞ?」
「また僕を働かせる気なの!?」
SAIがもうの後ろに完全に隠れる形になっている。会話の通じない二人の様子を見て、が提案した。
「龍水君。今回の仕事はが受け持ったんだ、ウチから報酬を出すのが筋だろう?その件でSAI君と相談したいんだ」
「成程、貴様の家の誇りもあるな。わかったぞ!」
そっちじゃない、と思ったが否定するのも面倒だったのでまあ面子がねー、とは誤魔化した。