第2章 First dreamers
「はっはーーなら龍黎丸だ!!」
龍水が指鳴らしすると、フランソワが金の斧を持ってきた。え、銀の斧では?金の斧と銀の斧チョイスするイソップ寓話か?はツッコむのを我慢し口元をヒクつかせる。
「フランソワさん、お久しぶりです。進水式の斧は此方で間違い無いのでしょうか」
「様、お久しぶりです。はい、間違いございません」
がそうですか、と言う間に造船所の人達はパチパチと名付けられた船に拍手を送る。
龍水が煌びやかな装飾の施された金の斧を振り下ろす。儀式の斧は船ごとの特注品だ。そこは守り、縁起はスルーしたのだろう。黄金に輝く髪を靡かせ、龍水が支綱を切断。紙吹雪の舞う中を帆船『龍黎丸』が進水台を滑り船尾から水に入った。更には背後からパンパカパーーン!!と楽団の演奏が始まる。こんな波風に吹かれたら楽器が大丈夫じゃないのでは?とは思ったが、平常運転という顔で演奏する七海財閥の楽団員。船が漕ぎ出し、は拍手を送る。艤装も終わると龍水がの元にやって来た。
「よし行くぞ、テスト運航だ!!」
「ハイハイ」
ヘルメットとライフジャケットを着てタラップを駆け登る。龍水と、そして造船所長が甲板に降り立つ。今回は帆船で人手が要るので、セイル・トレーニング等で帆船の経験のある船員も同行した。