第7章 *戻ってきた仲間
大地side
いつもなら部室で他の部員と喋りながら着替えるから
俺が着替えて出た時には花澄が外で待ってくれてるけど
今日は急いで着替えたのもあっただろうが
まだ花澄が更衣室からでてこない
暫くするとガチャリと更衣室のドアが開く
トロンとした目で制服姿の花澄が出て来た
眠たかったから着替えるのが遅かったのか
無意識に微笑んでしまう
昔から眠たくなると電池が切れたようにすぐに寝てしまう
そんな子供みたいなところが可愛くてまた好きだった
俺を見つけると少し目を見開いてこちらへ駆け寄って来る
『わっ!お待たせしちゃってごめんね?!』
はぁ‥かわいい
「大丈夫大丈夫!今きたばっかだから!帰るべ?」
いつものように頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めている
マジで誰にも渡したくないな
俺の中の独占欲は日々増していくばかりだ
今までどうやって我慢してきたのか不思議なくらい
もう花澄への気持ちを隠しきれなくなってきた
そんな俺の気持ちにも全く気付かない鈍感なマネージャーは
帰りの電車でも大きな目が今にも閉じてしまいそうなくらいうとうととしている
「なお?眠かったら無理せずに寝てもいいんだぞ?駅に着いたら起こしてやるから?な?」
『大地も疲れてるから眠たいでしょ‥私が起きてるから大地が寝ていいよ?』
今にも寝てしまいそうなくらいなのに俺の事気遣ってくれるところがまた花澄らしくて好きが募っていく
「そーんなトロトロの目で言われてもな?ほら!いいから少し寝なさい!」
肩を抱き寄せてトントンと優しくリズムを刻む
あっという間に眠りに落ちたようですーすーと寝息が聞こえてくる
肩に感じる重みが心地よい
傍からみるとカップルにみえるだろうか
今だけは恋人気分を味わってもバチは当たらないよな?
そっと自分の頭を花澄の頭によせるとシャンプーの良い香りがする
甘い香りを胸いっぱいに吸い込んで目を閉じる
あぁ‥この時間がずっと続けばいいのに
「頼むから俺の事好きになってくれよ‥」
今すぐにでも自分のものにしてしまいたい小さな手をそっと握りしめる
『だいち‥』
びっくりして顔をみるとすやすやと気持ち良さそうに眠っている
「寝言まで可愛いとか反則だろ」