第5章 vs大王様
パイプ椅子を置いてそこに座ってもらう
『じゃあ氷水作ってきますのでちょっと座って待っててくださいね?』
試合の行方はとっても気になるけれど、怪我が悪化したら大変だから急いで氷水をビニール袋にいれて体育館へ戻る
パイプ椅子に座っている男の子のもとへと戻り横に膝立ちになって手を掴む
『失礼しますね?冷たいですよ〜』
手を掴むと男の子がビクッとして顔が赤くなる
『大丈夫ですか?』
心配になって見上げるとさらに顔を赤くしてこたえる
「あのっ‥前試合会場で白石さんの事見かけた時から一目惚れしてしまってずっと気になってたんです!まさか今日こっちのサポートしてくれるなんて思ってもみなくて‥めっちゃ嬉しいです!」
『前お会いした事あったんですね!気付かなくてすみません!』
慌てて頭を下げる
「ち、ちがうんです!僕がチラッと見かけただけで‥あの、良かったら今度‥」
「「「キャーー!!及川さーん!!」」」
彼が何か言いかけたところですごい歓声が聞こえる
『あっ!及川さんだ!!及川さんどこか行ってたんですか??』
「え?あぁ及川さん、前捻挫しちゃったんですけど今日から復活みたいですね」
『そうなんですね!及川さんのプレーみるの楽しみだな!』
「白石さんも及川さん好きなんですか??」
『及川さん好きですよ!こないだお出かけした時もとっても楽しかったです!』
「そっか〜やっぱり及川さんには敵わないか‥」
彼がボソッと何か言ったけれど聞き取れなかった
『じゃあそろそろテーピングしましょうか!』
テーピングを終えるとすごい音がしたのでコートを振り返る
及川さんのサーブだ‥
ジャンプサーブをすごい勢いで、それもレシーブが苦手な月島くんの方へドンピシャでうっている
及川さんのサーブに釘付けになっていると両手をギュッと握られる
「あの!ありがとうございました!及川さんの事好きでも‥俺やっぱり諦めませんから!また連絡先教えてくださいね?」
彼は頭を下げて戻っていった
連絡先なら全然教えるんだけどな‥諦めないって何のことだろう?
救急グッズを鞄にしまってコートへ戻ると試合は終わっていて
烏野が勝っている
すごいすごい!!あの青城に勝ったんだ!