第5章 vs大王様
大地side
パタパタと走っていく後ろ姿をみつめる
練習試合がスムーズに進むようにって考えて提案してくれた花澄に
行かないでくれとは言えなかった
行かせたくないけど
それは俺だけじゃなかったようで烏野の他メンバー達の凄まじい視線も感じた
まぁこれだけの監視がある中で手を出す事は出来ないよな
そう思って今日は試合に集中しようと自分に言い聞かす
可愛らしい声が聞こえてくる
『本日は青城の皆さんのサポートをさせて頂きます!白石花澄です!宜しくお願いします!何かあれば遠慮なく言ってくださいね?』
今日もあの破壊力抜群の笑顔を披露している
青城のサポートする事は知らされていなかったようでどよめきが聞こえてきた
「まじかよ‥」
「めちゃくちゃラッキーじゃん」
「えー!こんなチャンスあり?終わったら連絡先聞こ!」
聞き捨てならないセリフが聞こえてきたので
終わったら速攻迎えに行こうと心に決める
スガが横から話しかけてくる
「なーんで花澄ちゃん行かせちゃったんだよ〜俺らの花澄ちゃんっ‥」
冗談ぽく言ってくるけれどきっとスガも本当に嫌なんだろうな
お互い誰が好きとは話した事はないが
きっとスガも気付いている
俺が花澄の事を好きって事を
そしてスガが花澄の事を想っているのも俺は気付いている
良き仲間であり
良きライバル
それはバレーボールだけじゃなかった
いくらスガだからって
花澄の事は誰にも譲る気はない
いかんいかん
今からの練習試合に集中するんだった
横に立っていた日向がまだ体に力が入っているみたいだったから声を掛ける
「緊張しなくて大丈夫だから リラックス!」
「ハイッ!リラックスがんばりますっ!」
ビシッと立って大声を出す日向
あれ‥やっぱりやばい?俺が声を掛けると余計にダメな気がする
ここは清水に
「なぁ!マネから一年に気の利いた一言ない!?」
清水が日向の肩をたたく
「期待してる」
ボンっ!と顔が真っ赤になる日向
やってしまった‥トドメをさしてしまった
日向は大丈夫だろうか
向こうのコートからも心配そうに日向のことを花澄が見ている
あぁ‥うまくいきますように
俺は上を見上げた